国際数学連合(IMU)が主催する国際数学者会議などでも、IUT理論を巡る話題は腫れ物に触るかのような扱いを受ける場面が散見される。問題の本質は、現代数学が極限まで細分化・高度化された結果、一握りの研究者以外には正否の判定すら下せない領域に突入してしまったことにある。
数論と代数幾何学を架橋する超巨大な理論体系をゼロから学び直すには、第一線の研究者であっても年単位の時間を犠牲にしなければならない。だが、ショルツらによって欠陥が指摘された理論に、それほどのコストを払う研究者は極めて少ないのが現実だ。
数学は「絶対的な正しさ」を共有できる普遍言語であるはずだった。しかし今、専門家同士の間で言葉が通じない「バベルの塔」の崩壊が起きている。