疑わしい診断書が提出された際、労務管理として踏むべき正しい初動ステップは完全に体系化されている。日本精神神経学会などの専門家が推奨するプロセスを基に、以下の手順を遵守することがリスクを最小化する鍵となる。
第1ステップは「形式的受理と事実の切り離し」だ。主治医の診断書は一度受領し、感情的な反論は避ける。その上で、診断書に記載された主治医の専門性や発行元の医療機関の実態を確認する。近年問題視されている、短時間のオンライン診療だけで安易に長期休職診断書を発行するクリニックでないかのチェックも含まれる。
第2ステップは「就業規則に基づく産業医面談の実施」である。主治医は「労働者の味方」として書類を書く立場にあるが、産業医は「その職場で働けるかどうか」を中立的に判断する役割を担う。産業医による詳細な医学的アセスメントを実施し、業務遂行能力の有無を会社として判定する。
第3ステップは「主治医への意見照会(要同意)」だ。本人の書面同意を得た上で、会社側の指定医や産業医が主治医に対し、どのような診察を経てその判断に至ったのか、具体的な就業制限の内容について医療照会を行う。このプロセスを経ることで、辻褄の合わない診断書であれば主治医側の見解が修正されるケースも少なくない。