コストゼロで手軽という利点ばかりが拡散される一方で、植物栽培の専門家や生産者の現場からは、ペットボトルじょうろの常用に対する警鐘も鳴らされています。特にデリケートな室内観葉植物を管理する上では、見過ごせないリスクが存在します。
第1の盲点は、透明ボトル内部における藻の繁殖と水温の急激な変化です。ペットボトルは遮光性が皆無であるため、ベランダや窓辺に水を満たした状態で放置すると、わずか数日で微細な藻類が発生します。さらに夏季の直射日光下では、内部の水温が容易に40度を超えます。この「ぬるま湯」を土壌に注ぐと、鉢内の根が熱ダメージを受けて腐敗し、最悪の場合は根腐れ(ねぐされ)を引き起こして植物を枯死させます。
第2の盲点は、観葉植物における給水量不足と鉢底からの老廃物排出の不備です。多くの観葉植物では、「土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与える」ことが基本とされています。これは新鮮な酸素を土中に送り込み、根から出た老廃物を洗い流すためです。しかし、ペットボトルじょうろの細い水流では、土の表面だけが濡れて内部まで浸透していない「みせかけの給水」に陥りやすく、慢性的な乾燥枯れを招くケースが後を絶ちません。
また、「ペットボトルに液肥(液体肥料)を入れて作り置きできる」というネット上の裏ワザも重大な誤解を孕んでいます。希釈した液肥を光の当たるペットボトル内で保管すると、栄養価の高さから急速にバクテリアが繁殖し、有機物の腐敗が進みます。肥料としての効果を失うどころか、土壌環境を悪化させる病原菌の温床となるため、希釈液はその日のうちに使い切るのが鉄則です。