公的記録が示す通り、2026年現在における韓国のノーベル賞受賞者は累計2名です。いずれも人文・社会科学および平和活動の領域であり、自然科学分野からの選出はまだありません。
韓国人として初めてノーベル賞の栄誉に浴したのは、第15代大統領を務めた金大中氏(2000年平和賞)でした。長年にわたる軍事独裁政権への抵抗と民主化運動への貢献、そして2000年6月の第1回南北首脳会談を実現させた「太陽政策」による朝鮮半島の緊張緩和が評価されたものです。しかし当時、国内では政争の具とされ、「ロビー活動による受賞ではないか」といった根拠のない中傷が一部で飛び交うなど、国民全体の手放しの賛同を得るまでに時間を要した経緯がありました。
それから四半世紀近くを経て誕生した2人目の受賞者が、小説家のハン・ガン氏(2026年文学賞)です。スウェーデン・アカデミーは「歴史的トラウマに向き合い、人間の生の脆さを浮き彫りにした力強い詩的散文」と評し、代表作『菜食主義者』『少年が来る』『別れを告げない』などで描かれた徹底的な個の痛切さと暴力への抵抗が世界的な共感を呼びました。
ハン・ガン氏の受賞発表時、韓国国内の書店では関連書籍の在庫が瞬く間に払底し、わずか数日で100万部を超える爆発的な重版が記録されました。映画やドラマ、K-POPといった大衆文化(K-カルチャー)に続き、純文学においても最高峰の評価を得たことは、韓国社会の文化的な成熟を世界に知らしめる決定打となったのです。