運ばれてきた日替わり定食の盆を見て、思わず息を呑む。ツヤツヤと輝く炊き立ての白米、大振りの具材が沈む味噌汁、そして香ばしい焼き目のついた魚。一口すする味噌汁の破壊力は凄まじい。いりこと昆布の輪郭がくっきりと舌に広がり、胃袋の奥底へとじんわり染み渡っていく。
「朝の4時半から毎日、火加減を見ながら取ってるだけよ」と店主は屈託なく笑う。だが、その「だけ」がどれほどの手間を意味するかを私たちは知っている。冷凍パウチや自動調理器がファストフードを席巻する今、毎朝寸胴鍋の前に立ち、アクを取り、素材と対話する手仕事。その一杯の汁物が、張り詰めた神経を静かに緩めていく。