日本の興行界において、アニメーション映画が市場全体の牽引役となって久しい。その礎を築いたのは、スタジオジブリと配給大手・東宝が長年かけて練り上げた劇場興行のモデルだ。『君たちはどう生きるか』が事前のプロモーションを一切排除するという前代未聞の戦略をとりながら大ヒットを記録した背景には、長年培われた東宝の強力な劇場網と、観客がジブリという屋号に寄せる絶対的な信頼があった。
いまや日本映画産業の興行収入ランキング上位を占めるのはアニメーション作品であり、実写映画の規模を遥かに凌駕する。作家性を損なうことなく、莫大な製作費を投じた手描きアニメーションを興行的な成功へと導くエコシステムは、世界の映画ビジネスから見ても稀有な成功例として研究され続けている。