「観客を置き去りにした設計」として批判を集めた豊島区と劇場運営側は、2026年から2026年にかけて段階的な改修工事に踏み切りました。観客からの不満の声を反映し、数百箇所に及ぶ微調整が施されたのです。劇場関係者の証言や公式情報資料をもとに、リニューアル後の実態を整理します。
まず視界面における最大の改善は、座席の「千鳥(チドリ)配置」への再構築です。1階席のシート配列を互い違いにずらし、前列の人の頭と頭の間から舞台センターが抜けやすくなるようレイアウトが再設計されました。これにより、1階席中段で起きていた「センター完全消失」の頻度は大幅に減少しています。
さらに物議を醸していた2階・3階の手すり問題に対しても、改修の手が入りました。視線を遮っていた金属パイプの一部が、強度の高い極細ワイヤーや特殊透明アクリルパネルを用いた設計へと換装され、着席時の視覚的圧迫感が緩和されました。また、明らかに舞台の半分以上が見えないと苦情が殺到していた一部のバルコニー見切れ席は、客席販売から除外されるか、あるいは明確に注記を付けた「見切れ席専用区分」へと格下げされる運用へと移行しています。
音響面に関しても、開館当初に指摘されていた「台詞がこもってクリアに届かない」「吸音材の配置により生音が響かずデッドすぎる」という弱点に対し、音響反射板の追加設置やスピーカーの指向性チューニングが実施されました。改修前に比べ、特にミュージカルオーケストラのダイナミクスや役者のセリフの輪郭は見違えるほど明瞭さを取り戻しています。しかし、躯体(建物の基本骨格)そのものを取り替えられない以上、縦揺れの勾配深さやサイド壁際の死角がゼロになったわけではありません。