本作の説得力を支えているのは、若手実力派俳優陣の鬼気迫るアンサンブルです。物語の中心となる3組の関係性は、それぞれ異なる思春期の病理と魂の飢餓感を浮き彫りにしています。
【小坂れい(間宮祥太朗)× 鹿野なな(桜井日奈子)】
小坂を演じた間宮祥太朗は、荒んだ言葉遣いの奥にある底知れぬ倦怠感と、他者を受け入れたことで芽生える柔らかい眼差しを繊細に演じ分けました。対する桜井日奈子は、従来の「岡山の奇跡」と呼ばれた快活なパブリックイメージを完全に脱ぎ捨て、手首の傷を隠しながら攻撃的な態度でしか自己防衛できない鹿野の痛みを生々しく体現。二人が放課後の教室で交わす他愛のない会話は、自然光を多用した映像美も相まって、胸が締め付けられるほどのリアリティを獲得しています。
【きゃぴ子(堀田真由)× 地味子(恒松祐里)】
誰からも愛されたいという強迫観念から複数の男子と関係を持ち、承認欲求の底なし沼でもがく美少女「きゃぴ子」を堀田真由が好演。そして、そんなきゃぴ子の毒も脆さもすべて引き受け、冷徹な毒舌を吐きながらも絶対に見捨てない幼馴染「地味子」を恒松祐里が演じました。地味子がきゃぴ子に放つ「私がずっと可愛いって言ってあげるから」という誓いは、もはや友情を超えたシスターフッドの極致であり、サブエピソードでありながら観客の心を激しく揺さぶります。
【宮崎撫子(箭内夢菜)× 八千代(ゆうたろう)】
感情を表に出さず、人を好きになる感覚が分からない八千代に対し、「好きです!」と毎日直球で告白し続ける撫子。箭内夢菜の無垢なエネルギーと、ゆうたろうの透明感あふれる無機質な佇まいの対比が、他者を愛することの恐れと喜びをピュアに描き出しています。
この3組が単なる並列ではなく、教室の片隅や図書室、通学路の同じ空間で静かに共鳴し合っていたことが明らかになる構成は、秀逸なキャスト相関図の妙味といえます。