吉野山全体が修験道の聖地として知られる中、この場所はその最も奥深き領域に位置する。中世から続く山岳信仰の熱量は、今なおこの地から失われていない。修験道の開祖とされる役小角(えんのおづぬ)の伝承をはじめ、山全体が巨大な修行の道場であった名残が、境内のあちこちに刻まれている。
本殿周辺を取り巻く原生林は、古来より神域として厳重に守られてきた。過剰な開発の手が入っていないからこそ、数百年単位で受け継がれてきた自然と信仰の調和がそのままの形で維持されている。参道を歩けば、足元を湿らせる苔や風に揺れる葉音が、大自然の力強い呼吸を物語る。