お宮参りの場において、母親の装いで恥をかかないための絶対原則は「主役である赤ちゃんより控えめでありながら、格式の高い略礼装を保つこと」です。神社という神聖な場で行われる神事であるため、普段着に近い小紋(こもん)や紬(つむぎ)はどれほど高価であっても適しません。
母親の着物としてふさわしい選択肢は、主に以下の3種類です。
最も王道で選ばれているのが「訪問着」です。肩から胸、袖、裾にかけて縫い目をまたいで一枚の絵のように模様がつながる「絵羽模様(えばもよう)」が施されており、華やかさと品格を兼ね備えています。神社境内での撮影や写真館でのスタジオ撮影でも、最も写真映えする装いとして定評があります。
訪問着に次いで適しているのが「付け下げ」です。模様が縫い目をまたがず、すべて上向きに配置されている着物で、訪問着よりも柄付けが控えめで落ち着いた印象を与えます。近年は訪問着と見分けがつかないほど格式の高い付け下げも多く、すっきりとした上品さを好む母親に支持されています。
そして、柄のない一色染めの「色無地」も非常に格式高い選択肢です。ただし、お宮参りで色無地を着用する場合は「背中に一つ紋(縫い紋または染め抜き紋)」が入っていることがマナー上の条件となります。紋が入っていない無紋の色無地は街着(普段着)の扱いになるため、お祝いの席には不向きです。一つ紋が入った色無地は、落ち着いた知的な印象を与え、赤ちゃんの華やかな祝着を最も美しく際立たせます。