日本の小麦市場は、長らく外国産(主にアメリカ、カナダ、オーストラリア産)の輸入に大きく依存してきた。政府が一括して買い付け、製粉会社へ売り渡す「国家貿易制度」のもとで、安定した品質と価格が保たれてきた経緯がある。
しかし、ここ数十年の間に大きな構造変化が起きている。国産小麦の目覚ましい品質改善だ。
かつて「国産小麦は製パンに向かない」「タンパク質が不足している」と言われた時代があった。だが、農研機構や各地の農業試験場による絶え間ない品種改良がその評価を覆した。「ゆめちから」に代表される超強力品種の誕生や、「春よ恋」「きたほなみ」といった製パン・製麺適性に優れた品種の普及により、現在では高級食パン店やこだわりのラーメン店が競って国産小麦子を指定する事態となっている。