スコッチヨーク機構の最大の特徴は、往復動部品が理論上完全な正弦波運動を描く点にある。従来の機械構造では実現が難しかった理想的な幾何学挙動を、驚くほどシンプルな構造で成立させているのだ。
構造は極めて洗練されている。ピストンロッドに直結した直交スロット(ヨーク)内部を、回転軸に取り付けられたクランクピンが滑走する。コンロッド(連桿)の傾きが存在しないため、ピストンがシリンダー壁面を押し付ける側圧(サイドスラスト)は理論上ゼロになる。機構学の観点から見ても、無駄な二次振動を大幅に抑制できるこの幾何学的配置はまさに理にかなった解と言える。
構造解析を担当する機械工学の研究者にとっても、このシンプルな数式で表せる調和運動は力学的予測を容易にし、慣性力のキャンセルやバランスウェイトの最適化を極限まで突き詰めることを可能にしている。