インターネット上の情報では、「ゴールデンレトリバーは誰にでも優しく、放っておいても賢いパートナーになる」という言説が散見されます。しかし、現場の実情を取材すると、この神話がもたらす悲劇は後を絶ちません。
第1の誤解は、「先天的な性格だけで穏やかになるわけではない」という点です。盲導犬や介助犬として活躍するレトリバーは、何世代にもわたる厳格な気質選抜と、プロフェッショナルの徹底した訓練プログラムを経て育成されています。一般家庭で迎える子犬は、適切な境界線(バウンダリー)としつけを与えられなければ、興奮しやすく制御不能な巨漢犬になり得ます。
第2の盲点は、「室内飼育における床環境と関節リスク」です。日本の住宅に多いフローリングは、大型犬の足腰にとって滑り台のように危険な環境です。滑る床で生活を続けると、股関節形成不全が悪化したり前十字靭帯断裂を引き起こす主原因となります。リビング全体に滑り止めマットやクッションフロアを敷き詰める住居改修が前提条件となります。
第3の盲点は、抜け毛の量と抜け落ちる周期です。ゴールデンレトリバーはダブルコート(上毛と下毛の二重構造)であり、春と秋の換毛期には部屋中が毛で覆われます。毎日のスリッカーブラシ・コームによるコーミング、定期的なシャンプーやプロによるトリミングを怠ると、重度の皮膚炎を招く要因となります。