映画『それいけ!アンパンマン ばいきんまんとえほんのルルン』は、ばいきんまんというキャラクターの歴史において決定的な金字塔となった。絵本の世界で自信を失った妖精ルルンを前に、ばいきんまんが見せるのは、普段のいたずらっ子ではなく「何があっても絶対に立ち上がる勇者」の姿だった。
中尾の演技は、これまでにない深みと切なさを帯びていた。泥だらけになりながらルルンを守り、叫ぶシーンでの声の震えは、観る者すべての胸を打った。悪役が主役として輝くこの物語で、中尾は半世紀を超えるキャリアの頂点とも言える新たな感情表現を切り拓き、ファンのみならず批評家たちをも唸らせた。