完全試合は投手の実力だけで完成するものではない。紙一重の運、野手の超人的なファインプレー、そして時に残酷な判定が交錯する。
衝撃の真実として語り継がれるのが、2010年に起きたアルマンド・ガララーガの「28アウトの完全試合」だ。9回2死、あと1人で達成という場面で一塁判定が誤審となり、誰もが認める快挙が幻と消えた。判定を下した一塁審の涙とガララーガの紳士的な対応は、スポーツジャーナリズムにおいて長年議論され、その後のビデオ判定導入への決定的なトリガーとなった。
また、1956年ワールドシリーズ第5戦でのドン・ラーセンの快挙裏にも、捕手ヨギ・ベラとの完璧なサイン交換と、レフトを守るエニッド・スローターの執念の打球処理が存在した。9回のアウト一つひとつに、語り尽くせない人間のドラマが隠されているのだ。