なぜ更年期を迎えると、これほどまでに自律神経が乱れてしまうのか。その理由は、脳の視床下部という部位の構造にある。
卵巣からのエストロゲン分泌が低下すると、脳は「女性ホルモンを出せ」と激しい指令を送り続ける。しかし卵巣はそれに応えることができない。この指令を出す視床下部は、体温調節や呼吸、心拍などを司る自律神経のコントロールセンターでもある。脳の混乱がそのまま自律神経のパニックへと波及し、血管の異常収縮や体温調節機能の誤作動を引き起こすのだ。
自律神経研究の第一人者として知られる順天堂大学の小林弘幸教授は、交感神経と副交感神経のバランスを保つことこそが健康維持の基盤であると指摘する。ストレスやホルモンの乱れによって交感神経が過剰に優位になると、血流が滞り、身体の各部位に不調が連鎖する。放置すれば自律神経失調症へと移行するリスクも高まるため、日頃からの小まめなコンディショニングが不可欠だ。