そもそも、このポーズのルーツはどこにあるのか。作者の荒木飛呂彦氏がかつて語ったように、その骨格にはイタリア・ルネサンスの巨匠たちの美意識が脈打っている。ミケランジェロの彫刻が持つコントラポスト(重心を片足に寄せることで生まれるS字ライン)や、ベルニーニが静寂の中に封じ込めた圧倒的な動的エネルギーだ。
荒木氏は20世紀後半のファッション誌や西洋美術全集を貪るように観察し、クラシックな美術史の文脈を日本の少年マンガというポップアートへと昇華させた。伝統的な西洋美術が持つ重厚感と、80年代以降のグラフィックデザインが融合した結果、40年以上の時を経て世界中のクリエイターを魅了し続ける普遍的なダイナミズムが完成したのだ。