「目の中で虫が消えてしまった」「目の奥(脳側)に入り込んでしまったのではないか」と不安を覚える人は少なくありません。しかし、眼球の解剖学的な構造上、異物が目の裏側や脳へ入り込むことは絶対にありません。
人間の目は、まぶたの裏側の結膜と眼球の白目を覆う結膜が「結膜嚢(けつまつのう)」と呼ばれる袋状の構造で繋がっています。行き止まりのポケット構造になっているため、虫がどれだけ奥へ移動しても、その袋の底で止まります。
では、見失った虫の死骸はどこへ行くのでしょうか。多くの場合、以下の3つのいずれかの経過をたどります。
1つ目は、無意識のまばたきや涙の分泌によって自然と目頭や目尻に押し出され、目やに(眼脂)に包まれて排出されるケースです。
2つ目は、涙の排出口である「涙点」から鼻涙管を通って鼻の奥へと流れていくケースです。
3つ目は最も注意が必要なケースで、上まぶたの奥深い溝(上円蓋部結膜)に死骸が引っかかったまま残留している状態です。死骸が長期間残留すると、組織の炎症や細菌感染の原因になるため、「見当たらないのに異物感が続く」という場合は自己判断での放置は禁物です。