リビアの国旗の歴史は、そのまま体制崩壊とクーデターの歴史そのものである。第二次世界大戦後の1951年、国連の主導によって独立を果たしたリビア連合王国では、イドリース1世のもとで赤・黒・緑の三色旗(中央に白い三日月と星を配置)が制定された。この意匠は、キレナイカ、トリポリタニア、フェザーンの歴史的3地域を統合した誇り高き王室の象徴だった。
しかし1969年、青年将校だったカッザーフィーが無血クーデターを決行すると、王制の遺産はすべて葬り去られた。汎アラブ主義を掲げた彼は、アラブ民族の結束を象徴する赤・白・黒の三色旗を導入し、エジプトやシリアとの統合を夢見てアラブ共和国連邦の結成にも踏み切る。だがアラブの連帯が脆くも崩壊した瞬間、彼は過去のあらゆるシンボルを捨て去り、前代未聞の「緑一色」へと国家を塗り替えたのである。