劇中で二人が演じるのは、ある未解決事件の再調査をめぐって対立しながらも、真実を追う中で奇妙な絆を深めていくベテラン刑事と若手ジャーナリストだ。長年、脇役として画面の空気を一瞬で変える稀有な演技力を磨いてきた清水伸。彼の醸し出すリアルな質感と人間味あふれる哀愁は、作品全体の骨格をしっかりと支えている。
一方で山下ひかりは、感情の機微を視線ひとつで表現する圧倒的な集中力で応戦する。リハーサル段階から台本を超えた即興的なやり取りが交わされ、カットがかかるたびに現場スタッフからため息が漏れたという。ただセリフを交わすのではなく、互いの息遣いや微細な表情の変化を察知しながら構築されたシーンの数々は、観客をスクリーンへと強烈に引きずり込む。