『移民の歌』の持つ原初的なエネルギーは、21世紀の映像表現とも完璧な共鳴を果たしています。映画史に残る象徴的な使用例を2点紹介します。
まず挙げられるのが、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の映画『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017年公開/タイカ・ワイティティ監督)です。北欧神話の雷神をベースにした主人公ソーが、自身の真の力に覚醒して敵の大軍を電撃とともに薙ぎ払うクライマックスシーンで原曲が惜しげもなく使用されました。楽曲のテーマである「神々の鉄槌」と映像のシンクロ率は凄まじく、世界中の映画ファンを熱狂させました。
もう一つの傑作が、デヴィッド・フィンチャー監督による映画『ドラゴン・タトゥーの女』(2011年公開)のオープニングです。ナイン・インチ・ネイルズのトレント・レズナーとYeah Yeah Yeahsのカレン・Oが手がけたインダストリアルなカバーバージョンは、漆黒の液体に覆われた不気味なCG映像と相まって、息を呑むほどの緊張感とダークな狂気を演出しました。