事件当時、メディアや大衆が最も強い衝撃を受けたのは、木嶋死刑囚が決して絶世の美女とは言えない容姿であったにもかかわらず、高学歴や資産家の男性たちが次々と大金を貢ぎ、命を奪われた点でした。なぜ被害者たちは疑うことなく彼女にのめり込んでしまったのでしょうか。
その核心は、卓越した「家庭的女性」の演出と徹底した心理操作にあります。彼女は名門料理教室に通い、プロ級の腕前を持つフランス料理や煮物などを男性たちに振る舞いました。胃袋を掴むと同時に、「早く結婚して家庭に入り、あなたに尽くしたい」「高齢出産になる前に子どもが欲しい」といった言葉を巧みに使い分け、結婚願望の強い男性の心理的な隙間に深く入り込みました。
男性に頼り、立てる甘え上手な会話術を駆使しつつ、将来の生活資金や学費という名目で数千万円単位の金銭を引き出す手口は極めて計画的でした。被害者たちは「理想の妻になってくれる」と完全に信じ切っていたため、多額の遺産や預貯金を渡した直後、抵抗する間もなく睡眠薬と練炭によって命を奪われることになったのです。