物語構造の視点から雑伊を紐解くと、二人は「生(医療)」と「死(忍術)」という完全な対極に位置しています。
忍びは任務遂行のためなら非情に徹し、他者を欺き、命を奪うことすら厭わない職種です。雑渡昆奈門はその頂点に立つプロフェッショナル。対する善法寺伊作は、どんな極限状態であっても敵味方の区別を捨てて命を救おうとする求道者です。
この二人が交わったとき、単なる友情や馴れ合いではない「絶対的な相互理解」が成立します。雑渡は伊作の甘さを危険視しながらも、自分たちが決して持ち得ない高潔な魂として伊作を肯定します。一方の伊作も、雑渡の恐ろしさを理解しながら、一人の傷ついた人間として彼に誠心誠意向き合います。
決して相容れないはずの二つの倫理観が、お互いへの敬意によって絶妙な均衡を保っている点こそ、このコンビが持つ最大のドラマ性です。