国家はなぜ彼らを恐れたか?大逆事件の謀略と葬られた24人の真相

国家はなぜ彼らを恐れたか?大逆事件の謀略と葬られた24人の真相

国家はなぜ彼らを恐れたか?大逆事件の謀略と葬られた24人の真相の疑問点について、分かりやすい解説を詳しくお届けします。

発端は1910年5月、信州で発覚した爆発物密造事件だった。長野県明科の製材所で働く工夫・宮下太吉らが手製の爆弾を製造・実験していた事実が警察に捕捉された。捜査当局はこの局地的な企てを、直ちに明治天皇に対する大規模な暗殺テロ計画へと飛躍させる。

背後で糸を引いていたのは、第2次桂太郎内閣である。日露戦争後の疲弊した社会に広がっていた反戦思想、労働争議、そして急速に支持を集めつつあったアナーキズム。元老・山県有朋の強い意向を受けた桂太郎首相と検察首脳部は、これを社会主義運動を一網打尽にする千載一遇の好機と捉えた。

宮下らの爆発物製造に直接関与していない各地の活動家が、次々と警察署へ連行された。政府は「皇室に危害を加えようとした」とする旧刑法第73条の大逆罪を強引に適用。予審段階から証言の歪曲や強引な誘導尋問が横行し、わずかな反体制的な雑談や手紙の文言すら、国家転覆の謀議へと仕立て上げられていった。

佐々木 一輝
Author

佐々木 一輝

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。