店頭からの排除に至るプロセスは、決して平坦なものではなかった。コンビニエンスストア各社が加盟する日本フランチャイズチェーン協会と、出版側のモラル管理を担ってきた出版倫理協議会の間では、長年にわたり熾烈な線引きの議論が交わされてきた経緯がある。
1990年代から2000年代にかけては、不透明なフィルムで表紙の下半分を覆う「シール止め」や、専用の仕切り板を設置するゾーニングといった妥協案が模索された。しかし、地方自治体の青少年健全育成条例の強化や、PTA・市民団体からの苦情は止まなかった。コンビニ側としては「行政指導を受ける前に自ら手を打つ」という防衛本能が働き、出版側は「表現の自由と流通網の確保」を叫んで対立した。
結果として下されたのは、妥協の延長ではなく完全な「取引停止」という劇薬だった。自主規制という名の緩やかな共存関係は終わりを告げ、大手流通プラットフォームがコンテンツを選別する時代の幕開けとなった。