1964年の竣工から実に60年以上。青山学院大学青山キャンパス内に佇む緑色の屋根は、文字通り渋谷・表参道エリアの変遷を見守り続けてきた。耐震性の向上や設備のバリアフリー化など、現代のスポーツ興行や大学施設に求められるスペックとの乖離は年々広がっていた。2026年、キャンパス全体の次世代型整備構想において、この建物の未来に関する最終判断が迫られている。
「昭和の温かみが残る数少ないアリーナだった」と語るのは、長年同館に通い詰めた地元住民だ。高度経済成長期の空気をそのまま残す武骨なコンクリート構造と、アットホームなサイズ感。最新鋭のドーム型アリーナが各地に誕生するなかで、この空間が持っていた「独特の近さ」は、他では味わえない贅沢な体験でもあった。