1990年代から2000年代にかけて、アニメーション映画業界における音楽の役割は大きく変容した。かつては物語の背景としてBGM的に扱われることも多かった劇伴が、映像と同等の表現力を持つ「芸術」へと昇華された瞬間。その到達点こそが本作のサウンドトラックである。
ジブリ作品におけるアニメ映画音楽は、単に場面を盛り上げるための道具ではない。登場人物の語られない心情を代弁し、観客の無意識に訴えかける。久石譲が生み出したシンフォニックかつミニマルな響きは、世界中の映画音楽家たちに多大な影響を与え、今なおアニメ映画音楽の最高峰として語り継がれている。