どれほど正確に運指をトレースしても、音作りが適切でなければ『新宝島』特有の煌びやかでタイトなサウンドは再現できません。専門誌の機材レポートやライブステージの実機検証から、岩寺基晴氏のトーンを生み出す機材構成を紐解きます。
まず使用ギターに関しては、Fender Custom Shop製のストラトキャスターやジャズマスターといった、シングルコイル・ピックアップを搭載したモデルが基本軸となります。ハムバッカー搭載のレスポール系では太くなりすぎてしまい、原曲のようなクリスピーな高音域のアタックが得られにくいため、コイルタップを使用するか、ストラトのセンター〜リアポジションを選択するのが理想的です。
エフェクターボードの構築においては、以下の3つのペダルが中核を担っています。
- コンプレッサー(Comp):カッティングの音粒を均一に揃え、サステインを稼ぐための必須アイテム。アタックは速めに設定し、パーカッシブな質感を強調します。
- TS系オーバードライブ(Tube Screamer / Jan Ray等):歪ませすぎず、クランチ(軽く歪む程度)にゲインを設定。中音域(ミドル)に適度なコシを与え、バンドアンサンブルの中でギターが埋もれない抜けを作ります。
- 空間系(ショートディレイ / デジタルリバーブ):音をぼやけさせないため、ディレイタイムは短めに設定(テンポに同期した16分音符または付点8分音符)。薄くコーラスをかけることで、80年代ディスコ風の広がりのあるトーンが完成します。
アンプセッティングは、JC-120(ジャズコーラス)やFender Twin Reverbのようなクリーンアンプをフラットに設定し、エフェクター側で軽快なドライブ感を付加していくアプローチが最も原曲に近づく近道です。