結論から明かすと、ルミネエスト新宿7階に位置していた「オリジナルパンケーキハウス ルミネエスト新宿店」は営業を終了しています。現在、新宿駅直結エリアおよび新宿区内に同チェーンの店舗は存在しません。
なぜ平日・休日を問わず長蛇の列を作っていた名店が撤退に至ったのか。商業施設関係者への取材や外食産業の動向から、主に3つの構造的要因が浮き彫りになっています。
第1に、ルミネエスト新宿における定期建物賃貸借契約の満了とフロアリニューアル戦略です。ルミネをはじめとする駅直結型ファッションビルでは、数年スパンでターゲット層(20代前半女性を中心としたトレンド層)の興味関心に合わせ、フロア全体のテナントを大幅に入れ替えるスクラップ&ビルド戦略を常態化させています。ブーム期を牽引したカフェ業態から、より回転率の高い新興トレンドスイーツやカジュアルダイニングへの転換期と重なったことが挙げられます。
第2に、客単価と滞在時間のアンバランス(回転率の課題)です。オリジナルパンケーキハウスの代名詞である「ダッチベイビー」は、専用オーブンでじっくり約15〜20分かけて焼き上げます。この調理工程は圧倒的な美味しさを生む一方で、商業施設内の飲食店としては滞在時間が長期化しやすく、席回転率が上がりにくいという構造的ジレンマを抱えていました。
第3に、運営企業の国内ポートフォリオ再構築です。一次的なパンケーキ熱狂ブームが落ち着き、市場が「日常的な定着期」へ移行する中で、運営サイドは過密な超一等地から、ファミリー層や落ち着いたカフェ利用が見込める郊外型・広域集客型SC(ショッピングセンター)へと経営資源を集中させるシフトを進めました。