かつての旧型コピー機では手差しトレイが物理的に開放されている店舗も存在しましたが、現在設置されている最新鋭のマルチコピー機では、操作パネル側でソフトウェア的に制限されているか、カバー自体にロックがかけられているのが一般的です。
なぜここまで徹底的に手差しトレイが封印されたのか。その背景には、一般ユーザーが認識しづらい「紙の物性と静電気トラブル」が存在します。
厚紙と一口に言っても、ケント紙、クラフト紙、コート紙、エンボス紙など多種多様です。レーザープリンターは、感光体ドラム上に静電気でトナーを付着させ、それを用紙に転写します。ところが、厚紙は用紙内部の水分量や密度によって電気抵抗が大きく変化するため、電圧制御が狂いやすく、トナーが全く定着せずに機内に粉末が飛び散る現象が発生します。
さらに、厚紙特有の「紙の硬さ(腰の強さ)」によって、機械内部の急激な搬送カーブを曲がりきれず、内部センサーを破壊しながらジャム(紙詰まり)を引き起こします。コンビニ各社が手差しトレイを塞いだのは、単なる意地悪ではなく、不特定多数が利用する社会インフラとしての安定稼働を維持するための必然的な帰結でした。