多くの企業がハラスメント防止対策としてアンガーマネジメント研修を導入している。しかし、これが現場の労働者に二重の苦しみを与えている側面は否定できない。
「理不尽な顧客や上司に対して怒るな」という指示は、構造的な問題を個人の感情管理の問題にすり替える都合の良い道具になり得る。理不尽な環境そのものを改善するのではなく、労働者に「怒らない技術」を身につけさせることで、企業側が対策を怠っているという批判だ。これでは、研修を受ければ受けるほど、現場の人間が「自分が未熟だから怒ってしまうのだ」と自責の念に駆られるのも無理はない。