活字の枠を飛び越えた『苦役列車』の映画化は、作品に新たな息吹を吹き込んだ。メガホンをとった山下敦弘監督は、昭和の残り香が漂う1980年代の空気感をざらついた質感で見事に再現。主人公・北町貫多を演じた森山未來の演技は、西村本人がスクリーンから這い出してきたかのような異様な迫力を放った。
現在もAmazon Prime VideoやU-NEXTなどの配信プラットフォームで鑑賞できるこの映画版は、単なる破滅型青年の記録にとどまらない。他者とうまく繋がれない人間の滑稽さと悲哀を浮き彫りにし、原作とはまた異なる角度から西村文学の本質を観る者の胸に突き刺す。