2006年の公開当時、この作品は映画界に大きな衝撃を与えた。アメリカ人が監督を務めながら、全編日本語で日本側の視点から戦場を描き切るという試みは、それまでのハリウッドの常識を覆すものだったからだ。ステレオタイプな「狂信的な敵兵」ではなく、祖国や家族を思い、極限状態の中で苦悩する生身の人間として日本兵を描いた意義は大きい。
公開から20年。配信サービスの普及によって、劇場公開時には生まれていなかった若い世代にも、この作品は届き続けている。単なる過去の戦争の記録ではない。現代の紛争にも通ずる「戦争の不条理」を捉えた作品として、その価値はむしろ高まっていると言えるだろう。