東京の焼き鳥文化を世界的レベルへと押し上げた立役者といえば、間違いなく目黒の名店「鳥しき」の店主・池川義輝氏である。そして、その薫陶を受けた弟子たちが独立し、中目黒周辺で独自の進化を遂げている。彼らの串打ちと火入れには、妥協を許さない伝統のイズムがしっかりと息づいている。
焼き台の前に立つ職人が手にするのは、極上の「紀州備長炭」だ。1000度近くに達する強烈な遠赤外線と直火をコントロールし、鶏肉の表面を瞬時に焼き固めて旨味を閉じ込める。一瞬の油断も許されない火との対話。炭の位置をミリ単位で微調整し、団扇であおぎながら肉汁の滴りをコントロールする職人の手捌きは、まさに芸術と呼ぶにふさわしい。