神戸市の気象を語る上で外せないのが、東西約30キロメートルにわたって連なる六甲山地の存在です。南側の神戸市中央区の天気は、温暖な瀬戸内海式気候の恩恵を受け、年間の日照時間が長く冬も比較的温暖な傾向にあります。これに対し、山を一つ越えた神戸市北区の天気予報は、標高の高さと内陸性気候の影響を強く受け、冬期には氷点下まで冷え込み路面凍結や降雪が頻発します。
この極端な二面性を生み出している主因は、標高差による気温逓減率と「地形性強制上昇」です。標高が100メートル上がるごとに気温は約0.6℃低下するため、標高約931メートルの六甲山山頂の天気予報では、三宮の市街地に比べて約5.5℃〜6.0℃も気温が低く推移します。
さらに、南方から湿った海風が吹き込む際、六甲山の急峻な斜面に沿って空気が一気に押し上げられます。上昇した気流は断熱膨張によって急激に冷やされ、山頂付近で濃密な雨雲やガスを形成します。その結果、「海岸沿いのメリケンパークでは日差しが注いでいるにもかかわらず、摩耶山や六甲山上では視界数メートルの濃霧と冷雨が吹き荒れる」という現象が日常的に発生するのです。