通算46作目のシングルとして1988年4月25日に世に送り出された『だってしょうがないじゃないか』。この楽曲の誕生には、当時すでにヒットメーカーとして頭角を現していた作詞家・秋元康氏による鋭い人間観察がありました。
当時、和田アキ子といえば豪快で姉御肌、力強いゴスペルやR&B調の楽曲を歌うシンガーとしての立ち位置が確立されていました。しかし秋元氏は、楽屋や雑談の中で彼女がふと口にする「だってしょうがないじゃない」という口癖に注目します。普段は見せない女性としての脆さや寂しさをこのフレーズに投影できると確信し、そのままタイトルとサビの核に据えた歌詞を書き上げました。
ところが、デモテープを受け取った和田アキ子本人は激怒に近い反応を示します。「こんな女々しくて情けない歌は歌えない」「私の普段の口癖をそのまま歌詞にするなんて手抜きではないか」と、強い難色を示しました。これに対し秋元氏は、「普段強そうに見えるアッコさんが歌うからこそ、大人の女性の孤独や切なさが聴き手の胸に深く刺さる」と熱心に説得を重ねました。周囲のスタッフの後押しもあり、半信半疑のままレコーディングに臨んだ結果、彼女の新たな代表作が産声を上げることになりました。