本州の大半が空を覆う花粉に苦しむ季節、全く異なる空気が流れる地域がある。代表格が北海道、沖縄県、そして遠く離れた小笠原諸島だ。
気候データと植物生態学の観点から見ると、北海道には本州で猛威を振るうスギの人工林がほとんど存在しない。道南の一部を除き、自生しているのはシラカバなどの北欧型植物だ。そのため、本州のスギ花粉症患者が渡道すると、飛行機を降りた瞬間に鼻の通りが良くなるという現象が珍しくない。
一方、南国の沖縄県はさらに徹底している。亜熱帯気候に属する沖縄にはスギやヒノキ自体が自生していない。気象データの測定値においても、スギ花粉の飛散量は実質ゼロだ。太平洋に浮かぶ世界自然遺産の小笠原諸島も同様で、海洋性気候と独特の生態系により、本州由来の風邪やアレルギー要因から物理的に遮断された完璧な避難場所となっている。