1999年、NHK連続テレビ小説『すずらん』でヒロイン・常盤萌を演じた遠野なぎこ。清純派の代名詞として国民的認知を得た彼女が、その後に選んだ道は平坦なものではなかった。多くの朝ドラ女優がイメージの固定化に苦しむなか、彼女は自らその殻を叩き割るように、過激な性描写を伴う作品へと身を投じていく。
それは単なる話題作りや路線変更といった生易しいものではなかった。彼女の演技には、観客を拒絶するかのような鋭利さと、同時にすべてを委ねるような脆さが同居していた。清純派という呪縛から逃れるため、あるいは表現者としての本能に従うため。彼女の「脱皮」は、当時の芸能界において極めて異端であり、かつ決定的な事件だった。