病魔は静かに、しかし着実に彼女の体を蝕んでいた。周囲に過度な心配をかけまいと、闘病の事実を限定的な人物にしか明かさず、彼女は最後まで「ダンスプロデューサー・夏まゆみ」であり続けた。
激しい痛みを抱えながらも、現場に立てば鋭い視線でステップをチェックし、妥協のない指示を出していたという。体力の限界と闘いながらペンを握り、次世代へのメッセージを書き残した姿は、まさにプロフェッショナルそのものだった。なぜそこまで自分を追い込むことができたのか。それは「舞台に立つ者、そしてそれを支える者としての責務」を、誰よりも重く受け止めていたからにほかならない。