紫波町の変化を象徴する場所として、今なお外せないのが「紫波町立図書館」だ。単に本を借りる場所ではなく、地域の課題解決型図書館として設計されたこの施設は、開館から10年以上が経過した今も熱気にあふれている。
書棚には農業、起業、健康、子育てといった実用的なテーマが並び、司書と利用者のコミュニケーションから新たな地域ビジネスが生まれることも珍しくない。日中、館内を見渡すと、PCを開いて仕事をする若いフリーランス、農業経営の書籍を読み込む地元農家、熱心に勉強する高校生が同じ空間を共有している。
「行政にお上頼みで何かをやってもらうのではなく、自分たちで調べて行動する」。図書館が育んだこの文化が、市民一人ひとりの「当事者意識」を底上げした。市民が自ら問いを立て、動き出すためのインフラとして、図書館は今も町の知の心臓部として機能している。