きくわん舎の製品設計には、もう一つの重要な要素がある。人間工学的な配慮だ。
例えば、持ち手。多くのバッグの持ち手は直線的だが、きくわん舎の持ち手は微妙に湾曲している。手のひらのカーブに沿った形状だ。この小さな違いが、長時間の持ち歩きで大きな差を生む。手が痛くならない。疲れにくい。
滑り止め加工も巧妙だ。革の表面処理を工夫することで、グリップ力を高めている。化学的なコーティング剤ではなく、革本来の特性を活かした方法だ。自然で、耐久性があり、見た目も損なわない。
ポケットとファスナーの戦略的配置
内部構造も計算されている。ポケットの位置、ファスナーの向き、仕切りの深さ。これらすべてが、「使いやすさ」を中心に設計されている。
よくある失敗は、デザイン優先で機能を犠牲にすることだ。見た目は美しいが、実際に使うと不便。財布なら、カードが取り出しにくい。バッグなら、小物が行方不明になる。きくわん舎はこの罠を避けている。機能が第一、美しさはその結果として自然に生まれる。