今でこそ異形のルックスばかりが取り沙汰されるが、彼女の物語は至って静かな場所から始まった。1945年、スイスのローザンヌで中産階級の家庭に生まれた彼女は、17歳の時に映画監督のシリル・ピゲと恋に落ち、パリへと移り住む。この若き日のヨーロッパでの華やかな暮らしこそが、後の彼女の美意識と上流階級への強い執着を形作った原点だ。
その後、映画プロデューサーのセルジュ・レゾヴァニら著名人との交友を経て、アフリカのケニアでの狩猟ツアー中に運命の出会いを果たす。相手は世界有数の美術商一族の御曹司、アレック・ウィルデンシュタイン。1978年、ラスベガスでの電撃結婚により、彼女は一夜にして世界有数の資産家婦人へと上りつめた。当時の二人は、ナイロビの広大な敷地で野生動物を囲み、贅を尽くした暮らしを送っていた。