伊江島の名を日本全国に知らしめた歴史的背景には、日本の映画史に燦然と輝く名作の存在がある。山田洋次監督が手掛け、主演の渥美清が主人公・寅さんを演じた『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花』の舞台として、この島は選ばれた。南国の風が吹き抜ける情景の中で繰り広げられた切なくも温かい物語は、今なお多くのファンを引き寄せて離さない。
昭和のテレビ文化や数々の旅番組でも繰り返し取り上げられてきた港町や集落の路地には、映画のロケ地であることを示す面影が今も静かに残る。フェリーを下りて港から歩き出すと、スクリーン越しに見たあの懐かしい空気感が肌に伝わってくるはずだ。