原泰久先生は、将来訪れる昌平君の反乱に向けて、作中にいくつもの緻密な伏線を張り巡らせています。
例えば、楚の宰相・春申君が暗殺された際の憂いを帯びた表情や、楚の千人将・項翼や白麗といった次世代の若武者を見つめる視線には、祖国への断ち切れぬ想いが滲み出ています。また、趙攻略における「鄴攻め」の策を考案した際に見せた冷徹なまでの軍略の裏で、中華統一がもたらす流血の重圧を誰よりも敏感に感じ取っている描写が散見されます。
嬴政の理想に心酔しながらも、自らの体内を流れる楚王家の血と祖国の民を見捨てることができない――。昌平君の心中に生じる葛藤は、今後の連載でより生々しく描かれていくはずです。