スマートフォンを操作しても指先に吸い付いてこない現象の背景には、ディスプレイが指を検知する物理構造が深く関係しています。現在流通しているほぼすべてのスマートフォン(iPhone・Android問わず)には「静電容量方式」のタッチパネルが採用されています。これは画面表面に微弱な電界が形成されており、電気を通す人間の指が触れた瞬間に微量の電流が指先へと逃げ、その座標変化をセンサーが読み取る仕組みです。
大手通信キャリアの技術広報資料によると、画面の操作不良で持ち込まれる端末の初期診断において、以下の3つの要素がボトルネックになっている実態が判明しています。
第1に、「指先や画面表面の電気伝導性の低下」です。特に空気が乾燥する季節や、冷え性によって指先の水分量が極端に低下している場合、微弱な静電気が発生せず、センサーが接触そのものを認識できません。また、手脂や水分が不均一に付着していると電界が乱れ、触っていない場所が反応したり、全面が無反応に陥ったりします。
第2に、「OSおよびバックグラウンドプロセスの高負荷フリーズ」です。複数の大容量アプリを同時起動していたり、OSアップデート直後のインデックス再構築処理が走っていたりすると、CPUの処理能力が限界に達し、タッチ入力を画面に反映するプロセスが後回しにされます。「触っても動かない」ように見えて、実際はシステムが極度の渋滞を起こして止まっている状態です。
第3に、「画面割れてないのに反応しない理由」として修理現場で頻出する、内部デジタイザ(タッチセンサー基盤)の目に見えない損傷です。ディスプレイは表面の強化ガラス、タッチを検知するデジタイザ、映像を映す有機EL(または液晶)パネルの三層構造になっています。落下時の衝撃がガラス表面に傷を残さずとも、内側の極薄センサーケーブルを断線させることが珍しくありません。この場合、表示は美しく保たれていてもタッチ操作だけが完全に死滅します。