幕内最年長再入幕を果たした当時のフィーバーを今も鮮明に覚えているだろうか。30代半ばを過ぎてからの怒涛の快進撃。重厚な体躯を活かした寄り、相手の攻めをいなす器用さ、そして何より土俵際で見せる驚異的な粘り。若手が台頭する現代の大相撲において、彼の躍進はベテラン勢の希望そのものだった。
「もう一度幕内で相撲を取りたい」。その一心で土俵に上がり続けた泥臭い姿勢こそが、ファンの心を強く揺さぶった。勝っても奢らず、負けても淡々と己の相撲に向き合う。飾らない人柄と相まって、国技館の客席には常に彼を応援するタオルが揺れていた。