本作に対して「単なるアンダーグラウンドの暴力映画」「ヤクザ映画の亜種」という先入観を持つ人は少なくありません。しかし、これは作品の本質を見誤った誤解です。『闇金ドッグス』の真の主題は、「セーフティネットの隙間に落ちた人間が、いかにして自己責任の罠に嵌まるか」という構造的暴力の可視化にあります。
作中の債務者たちは、決して最初から破滅を望んでいたわけではありません。病気、家族の介護、事業の失敗、あるいは孤独を埋めるための承認欲求など、日常の些細な躓きから違法金利の泥沼に足を踏み入れます。安藤忠臣は彼らに暴力を振るうのではなく、「契約書」と「利息計算」という合法を装った冷徹な論理で追いつめていきます。この制度的搾取の構図こそが、本作が他の裏社会映画と決定的に一線を画す点です。