この作品を語る上で欠かせないのが、作詞を手掛けた阿久悠と作曲を担当した三木たかしの存在だ。当時、数々のヒット曲を世に送り出していた黄金コンビの情熱と感性が、完璧な形で結実したのがこの一曲だった。
阿久悠が紡ぎ出した詞は、まるで短編映画のスクリプトのように緻密で叙情的だ。「上野発の夜行列車降りた時から」という冒頭のフレーズだけで、主人公が背負う孤独や決意、旅路の寒々しさが鮮明に浮かび上がる。余計な説明を極限まで削ぎ落とし、視覚と心理描写を同調させる手腕はまさに神業と言える。
その言葉に命を吹き込んだのが三木たかしのメロディだった。静かな哀愁を漂わせるAメロから、感情が爆発するサビへの展開。マイナー調の繊細な音使いとドラマチックな盛り上がりは、聴く者の胸を強く締め付ける。二人の天才が火花を散らしたことで、歌謡史に残る傑作が誕生したのだ。