日本テレビ系列の水曜夜8時枠で放送された『パパと呼ばないで』は、制作会社ユニオン映画と名脚本家・松木ひろし、そして主演の石立鉄男がタッグを組んだ伝説のシリーズ第3作です。平均視聴率は20%を超え、最高視聴率は27.6%(ビデオリサーチ関東地区調べ)を記録。当時の水曜夜のお茶の間を完全に席巻しました。
物語のあらすじは、独身のサラリーマン・安武右京(石立鉄男)のもとに、急逝した姉の一人娘である姪の千春、通称「チー坊」(杉田かおる)が遺されるところから始まります。父親の名を一切明かさぬまま旅立った姉の責任を背負い、右京は周囲の反対を押し切ってチー坊を引き取ることを決意。下宿先である東京・深川の米屋「福田屋」に身を寄せ、下町の温かくもお節介な人々に支えられながら、二人三脚の生活が幕を開けます。
しかし右京は、チー坊に対して断固として「パパ」と呼ぶことを許さず、「右京さん」と呼ばせ続けます。叔父と姪という一線を守り、いつか現れるかもしれない本当の父親の席を空けておくためでした。作品を象徴する主題歌はシンガーズ・スリーが歌う「虹」。作詞・岩谷時子、作曲・大野雄二という豪華布陣が手掛けた都会的で哀愁漂うスキャットは、物語のペーソスを象徴する名曲として親しまれています。舞台となった東京都江東区の深川や佃島、隅田川沿いのロケ地には、半世紀が過ぎた今も昭和の情景を偲ぶファンが足を運んでいます。