生まれ持ったIQや環境がすべてを決めるわけではない。スタンフォード大学のキャロル・ドゥエック名誉教授が提唱した「マインドセット理論」は、世界中の教育界とビジネス界に衝撃を与えた。能力は固定されたものではなく拡張可能であると捉える「グロース・マインドセット(しなやかマインドセット)」を持つ人間は、失敗を自己否定の材料ではなく、次の打ち手を導くための純粋なデータとして処理する。
この知見に呼応するように、ハーバード大学などの研究者たちも注目するアンジェラ・ダックワース教授の「GRIT(やり抜く力)」理論が脚光を浴びた。だが、ここで極めて重要な誤解を解いておかねばならない。ダックワースの言う情熱と粘り強さとは、「我慢比べ」ではない。明確な目標に向けて軌道修正を繰り返しながら突き進む、極めて知的な粘り強さのことだ。盲目的な継続はただの惰性に過ぎず、科学的な grit とは決定的に異なる。